ズッケエロ戦とアバッキオ (1/3)
アバッキオにとってズッケエロ戦の勝利は、過去に縛られた日々からの勝利なのだ。
‥‥‥と言ってみたところで誰にも理解してもらえないので、少しずつ解説していくシリーズ、その1です。
警官アバッキオは悩んでいた。
アバッキオは若い頃、正義感あふれる警察官だった——最初の頃はね。
©LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社・ジョジョの奇妙な冒険GW製作委員会
社会には矛盾がたくさんある。
「正義のために犯人を追いつつも賄賂を受け取る警察」。
「警察の正義を期待しつつも文句たらたらの市民」。
そういったものを、警官アバッキオは目の当たりにした。
警察は正しいふりをして、全く正しくない。市民は警察に期待を寄せ、そのくせ完全に失望している。
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上っ面と本心との二重の考え方 が、社会に満ちていたのです。
世の矛盾に染まっていくアバッキオ。
そういう矛盾した考え方にしっかり反感を覚えられるのが、アバッキオのいいところ。
だがその一方で、自分もコソ泥から賄賂を受け取って逃がしてしまったりする。
「自分が金を受け取るか、裁判所が受け取って保釈するかの違いだ」
と考えるようになったのだ。
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世にはびこる二重性に、徐々に染まっていくアバッキオ。
ある事件がアバッキオの人生を狂わせる。
そんなとき、以前賄賂を受け取ったことのあるコソ泥が、今度は強盗になっていた。相棒とふたりで現場に急行すると、住居侵入、暴行、窃盗、と逃れようのない罪状。
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警官アバッキオは、今度こそきっちり逮捕してやろうと考える。
しかし、強盗野郎は
「俺を逮捕すればあんたの賄賂も明るみに出る」 と言う。
たしかにそうだった。強盗野郎を逮捕しても、どうせ保釈金を払って刑務所を出てしまう。ただ自分に汚職警官という汚名を着せるだけのことになるのだ。
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この一瞬、保身のために正義を諦め、アバッキオは強盗野郎から銃を下ろした。
だが、強盗は銃を持っていた。
強盗野郎は、アバッキオたち警官2人をだまして逃げようと考えていたのだ。間一髪のところで、それに気づいたのはアバッキオではなく、相棒のほうだった。
銃声は2発響き、一方は強盗を動けなくした。
もう一方は強盗の放った弾だった。
アバッキオの相棒の胸を直撃した。即死だった。
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今回のまとめ
アバッキオの過去について見てきました。
- 警官アバッキオの感じていた「二重の社会」
=表面上は正義感があるように見えつつ、実際のところは悪を許し、助長している - 強盗犯を前に一瞬だけ、悪の助長に加担する
- その結果、アバッキオは相棒を死なせてしまう
次回予告です。
- ブチャラティとの出会い
- ムーディー・ブルースの意味
諸説あり。
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